国内で相次ぐ不正アクセス:JPCERT/CC の注意喚起と調査結果のまとめ(2026年10月)

注意喚起のまとめ更新 2026年10月16日

この解説について

JPCERT/CC(JPCERTコーディネーションセンター)は、国内のサイバー攻撃の被害の報告を受け付け、対応の調整や注意喚起をしている組織です。

JPCERT/CC は、2026年10月8日に、国内の組織で相次いでいる不正アクセスについての注意喚起を出し(9日に攻撃の痕跡の情報を追記)、10月15日には、攻撃に使われた可能性のあるサーバーの調査結果を公開しました。ここでは、その要点を一般の人向けにまとめています。技術的な詳しい内容と最新の情報は、出典の原文で確かめてください。

何が起きているのか

2026年9月ごろから、国内の組織への不正アクセスで、個人情報などが漏えいする被害が相次いでいます。JPCERT/CC は、ふだんから起きているランサムウェアなどの攻撃とは別に、大量の情報漏えいにつながっていて、今後も増えるおそれがある攻撃として、注意を呼びかけています。

注意喚起には、被害を受けた組織の名前や件数は書かれていません。JPCERT/CC は、技術的な情報の共有が足りず、わかっていることは限られているとしています。

狙われているのは、一般向けのアプリやサービスだけではありません。データを分析するツール(BI ツール)や従業員向けの管理システムのように、外から多くの人が使うことを想定していないシステムから、内部の情報が漏えいした例もあるとしています。

このサイトでも、9月から10月にかけて、不正アクセスによる情報流出の発表を多く掲載しています。ただし、どの事件がこの注意喚起の対象かは、JPCERT/CC は示していません。

確認されている主な手口

注意喚起では、次のような手口が確認されています。すべての事件で同じ手口が使われたわけではありません。

  • 既知の脆弱性(ソフトウェアの弱点)を探して悪用する。設定ファイルやバックアップファイルを盗むなど、管理の不備を突く攻撃も含まれる可能性がある
  • スマートフォンのアプリを解析して、アプリがやりとりするサーバーの窓口(API)を調べ、画面からはできない操作(利用者の権限の変更、不正なアカウントの作成など)を行う。ほかのシステムから盗んだ API キーを使う例もある
  • データ分析ツール Metabase の脆弱性(CVE-2026-72898)を悪用する(JPCERT/CC は2026年8月14日にも、この脆弱性の注意喚起を出している)
  • 公開している Web サーバーからつながるサーバーに、外から命令を実行できる不正なプログラム(Web シェル)を置く(10月9日に追記)

10月15日の調査でわかったこと

JPCERT/CC は、複数の組織と協力して、攻撃に使われた可能性のあるサーバーを調べました。その結果、攻撃者が AI を使って、既知の脆弱性を探したり、API を通じた攻撃をしたりしていたことを確認したとしています。日本以外の地域向けのサービスも狙われていました。

サーバーからは、スマートフォンのアプリ(Android のアプリや、Flutter という仕組みで作られたアプリ)を解析する道具や、解析したアプリのファイルが見つかりました。JPCERT/CC は、アプリに埋め込んだ秘密の鍵や認証の仕組みは、解析で見つけられてしまうことがあると指摘しています。

サービスを使っている私たちにできること

注意喚起と調査結果は、主にシステムを運用する組織や開発者に向けたもので、一般の利用者向けの対策は書かれていません。注意喚起は組織に対して、漏えいしたときに備え、顧客に二次被害を防ぐための呼びかけ(多要素認証の利用など)をする準備を勧めています。

利用者としては、次のことをしておくと、万一のときの被害を小さくできます(このサイトの解説です)。

  • 流出のお知らせが届いたら、メールのリンクではなく公式サイトで確かめる
  • パスワードはサービスごとに変え、使えるサービスではパスキーや2段階認証を設定する
  • 運転免許証などの画像が流出した可能性があるときは、信用情報機関への「本人申告」を考える

システムを運用する組織・開発者の方へ(要点)

注意喚起と調査結果で勧められている対策の主なものです。詳しくは原文と、原文が参照している OWASP のガイドラインを確かめてください。

  • 業務で使っていないサービスや管理機能を、インターネットに公開しない。脆弱性のある製品は、修正版にする
  • サービスを使う地域が限られるなら、アクセス元の地域を制限する
  • API には、時間あたりのリクエスト数の制限を設ける。ログイン・パスワードの再設定・SMS の送信・検索など、悪用されやすい機能には個別に制限を設ける
  • 公開していない API も含め、すべての窓口でアクセス制御を行い、許可した利用者と操作だけを受け付ける。権限は必要最小限にする
  • API のトークンには有効期限を設け、不要になったものや漏えいが疑われるものは、すぐに無効にできるようにする
  • アプリに秘密の鍵や長く有効な認証情報を埋め込まない。署名や難読化だけに頼らず、サーバー側で認証と認可を行う
  • 外部の URL の内容を取得する機能では、アクセス先を制限し、転送(リダイレクト)先も確かめる
  • 侵入されたあとに被害が広がらないようにする対策と、不正アクセスの検知・初動対応の体制を見直す。保存期間を過ぎたデータや、使い終わったデータを残さない
  • 従業員向けの管理システムや BI ツールなど、ふだんは外から使わないシステムも点検する

出典

  1. [1]
    JPCERT/CC「直近で相次いでいる国内組織における不正アクセスに関する注意喚起」公的機関|2026年10月8日|参照 10月16日原文を開く
  2. [2]
    JPCERT/CC「連続不正アクセス事案の攻撃手法に関する調査(JPCERT/CC Eyes)」公的機関|2026年10月15日|参照 10月16日原文を開く

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